(工期:2016(平成28)年3月8日~2017(平成29)年3月31日)
監理技術者: | 山本 麻弘 |
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現場代理人: | 佐藤 風司 |
現場監督員: | 安藤 信悟 |
現場監督員: | 五十嵐 悠也 |
東京大学医科学研究所とは
東京大学医科学研究所(通称「医科研」)は1892(昭和57)年に北里柴三郎氏が創立した伝染病研究所を前身とし、付属の研究病院を持つ日本随一の医学・生命科学のための研究所です。感染症、がんのどの疾患を対象とし、基礎研究の成果を医療に直結させることが使命であり、約7万平方メートルのこの敷地に、1000人近くの教職員、研究員。大学院学生らが医学研究と先端医療に励んでいます。
所在地 | 東京都港区白金台4-6-1 |
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敷地面積 | 68,907㎡ |
建築面積 | 19,971㎡(建ぺい率29%) |
延床面積 | 83,407㎡(容積率121%) |
建物の概要と特徴
■本工事現場である医科学研究所1号館は、1935(昭和10)年に伝染病研究所として建てられたものです。同じ東京大学の本郷や駒場キャンパス校舎建築群を多数設計した内田祥三氏の設計作品としても知られており、「内田ゴシック」といわれるデザインパターンのゴシック調建物です。
延床面積 | 13,537㎡(今回工事の改修面積 9,820㎡) |
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主要構造 | SRC造(一部RC造) |
階数 | 地下1階、地上3階(一部5階) |
竣工 | 1935(昭和10)年(築80年) |
設計 | 内田 祥三(うちだ よしかず) |
■築80年となり、老朽化した建物の耐震改修及び設備更新を目的として平成23年に東翼部分の改修(Ⅰ期)を完了し、今回は残る中央部分と西翼部分の改修をⅡ期工事として行っています。
設計 | 株式会社あい設計(建築) 株式会社ピーエーシー(電気・設備) |
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建築工事(別途) | 株式会社淺沼組 (耐震改修、外壁タイル改修、内装改修、ほか) |
電気工事(別途) | 西山電気株式会社 (受変電、動力、照明、防災改修、ほか) |
設備工事(当社) | 日本装芸株式会社 |
工事への取組み
■工事の特徴
本工事建物は先で述べたとおり。重要な研究施設であり、また歴史的価値の高い建物であります。改修の方針は「復元」。既存の世界観を壊すことなく、耐震化及び設備機能の更新を図るものであり、意匠について東京大学の教授で建築家の今井公太郎先生が監修し、建物外観や講堂・所長室など特に重要となる部分の仕上がりを手掛けています。設備としても今井先生の構想から、講堂の空調仕様を原設計から変更したり、外壁器具の色ツヤを見直すなど対応し、レトロ・フィット思想のデザインに合うよう尽力しました。
また、工事を進めるにあたり、Ⅰ期工事で改修済みである東翼エリアについて、本工事中も施設併用していくことから、給水・ガス・消火などのインフラを元から停止することが出来ず、適時打合せのもと切替作業により更新していくなど、リスクを伴う工事であること。 建築設計と設備設計が別会社で、設計時の疎通がうまく出来ておらず、躯体開口について施工段階で大きな制限がかけられ、設計通りの配管やダクトが出来ず、構造条件に合うよう見直しを迫られるなど工事をするうえで、解決すべき問題が数多くありました。
■完成へ
2016(平成28)年3月に受注し、5月頃から工事を開始しました。医科研施設側の移転引越しが遅れたことと、構造設計の見直しにより、耐震工事が遅れたことなどにより、当初の工程から2か月近く遅延が生じました。一時期は工期延伸の話もありましたが、完成後の研究チームの入居、記念式典の予定などを遅らせられないとの強い要望があり、とても厳しい日程となりましたが、1月中でなんとか全体の出来高80%を超え、3月の完成、引渡しへとこぎつけました。
当初、職員メンバーは全員が初顔合わせで戸惑うこともありましたが、その後連帯のとれた良いチームとなりました。
発注者、利用者にとって満足いくものに仕上げることはもちろんですが、我々施工者にも納得のいくものに仕上がるよう、最後まで気を抜かず取り組みました。